本物を観賞する

10月から11月にかけて、日本画中心に、アートの観賞をした。

まず、山種美術館で、"輝ける金と銀、琳派から加山又造まで"を。

中で、一番好きだったのは、川端龍子の金の絵の具で秋草を描いた屏風絵、タイトルは、"草の実"。迫力があり、金の輝きが美しい。

菱田春草展では、黒猫の描写に魅入る。

国宝展、仏像、仏画は良くわからないけれど、、、長谷川等伯の屏風絵を観賞できて、嬉しかった。国宝指定されているからこその状態なのだと感動。

"青磁のいま"では、作品の美しさは勿論、青磁と青瓷の違いについて勉強できた。青磁は、磁土(土というより石を砕いて粘土にした物)に、青磁色が出る釉薬を掛けた物で、青瓷は、陶土に青磁釉を掛けた物なのだそう。

展示会場は、国立近代美術館の工芸館、旧近衛師団司令部庁舎。明治時代の煉瓦創りの建物に夕陽が当たって美しい。

山種美術館で観た東山魁夷展。東山画伯の絵は、リトグラフなどでも高額で売られているけれど、日本画の良さは、岩絵の具の粒子が放つ光だと考える私は、やはり本物を観たいと思う。特に、青系の岩絵の具で表現された京都の絵、"年暮る"は、雪の中の静寂の世界に入り込める大好きな絵、何度観てもいい。

銀座を歩いていて偶然見つけた、廣済堂銀座ギャラリーの展示。
リ・クリエイトって?原寸大でキャンパス地に、特別なデジタル技術でプリントした複製画。原作の元の色彩にできるだけ近づけて再現するというアプローチなのだそう。原作を所蔵している美術館からプリントの権利を取得するのは、さぞ大変だったのでは?と想像していたのだけれど、このプリント技術の開発は、原作に使われていた絵の具などの研究にも一役を買ったとか。

油絵には、さほど興味がなかった私だけれど、、、西洋画、油絵も、もっと観に行く機会を作ろうと、興味が湧いてきた。 そして、やはり、本物を観たいと。

他に、アートが目的ではなかったのだけれど、箱根に紅葉を観に行って訪ねた美術館が二つ。ポーラ美術館では、岸田劉生の麗子像を観て、油絵の立体感や、深さのような物を感じた。箱根美術館は、庭園の美そのものが、アートだと思ったのだけれど、磁器や陶器の展示も素晴らしかった。